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給与日に送り合う「ねぎらいの言葉」が小さな変化を生んだ話

掲載日: 2025/04/02

給与日は、感謝を伝えるチャンスかもしれない

みなさんはあえて口に出すほどでもないような小さな感謝をどうしていますか? また今度でいいや、と思ったまま感謝を伝えるのを忘れてしまう、そんなことはありませんか? 日々のささやかな「感謝の気持ち」を、分かりやすく届ける方法があるとしたら——。

フォノグラムでは、創業数年後くらいから「今月の守護神」というユニークな制度を続けています。 毎月ランダムにマッチングされた誰かを見守り、翌月の給料袋に「ねぎらいの言葉」を直筆でしたためる。 たったこれだけのことなのですが、長年にわたり社内に小さな変化を生み続けている気がするので今回まとめてみました。


「今月の守護神」とは?

「今月の守護神」制度は、毎月誰かを見守り、翌月の給料袋にねぎらいの言葉などを直筆でしたためる、というシンプルな制度です。 手順はこんな感じになります。

【ステップ1】毎月、誰かの「守護神」に任命されます

【ステップ2】1ヶ月間ひっそり見守ります

【ステップ3】翌月、給料袋に「ねぎらいの言葉」を直筆でしたためる

【ステップ1】毎月、誰かの「守護神」に任命されます

マッチングは、有志メンバーが作ってくれたシステムで自動的にシャッフルされます。 (多分初期には手動でシャッフルしていたのだと思うのですが、古すぎて記憶があいまいです。)

【ステップ2】1ヶ月間ひっそり見守ります

まるでクリスマス前のシークレットプレゼント交換のようです。 毎月誰かが誰かを守護してるんですね。

【ステップ3】翌月、その人の給料袋に「ねぎらいの言葉」を直筆でしたためて送り合います

封筒のどこに書くか、どんな内容を書くかは自由ですが、だいたい「この1ヶ月間で感謝していること」などが書かれています。

ステップをまとめていて気づきましたが 【ステップ2】の守護期間を設ける事が特に重要かもしれません。 これにより、普段から「お互いに関心をもとう」という意識づけになり、 さらにこの意識が継続されることでお互いの貢献を認識し、感謝を伝え合う文化が醸成されてきた気がします。

守護神システムから来るメールにはこんな見守りのヒントが記述されています。

あなたがしなければならないこと:
– 密かにあなたの同僚が何をしているかを見ます
– 思い出に残るものを覚えておいてください
– 奇妙な事を覚えておいてください
– あなたの同僚の努力に感謝してください
– あなた自身を美しく行動してください
(誰かがあなたを見ているかもしれない)

あなたがしてはいけないこと:
– 担当者に言わないでください
– 同僚の家までついていかないでください
– 一緒にトイレに行かないでください
– 同僚の家に忍び込まないでください
封筒のフタもこんな風に遊び場になったりします。

「今月の守護神」のきっかけ

昔、別の会社で受け取っていた給与明細に、少し驚いたことがありました。
それは高さ1cmほどの横長の紙で、自分の給与情報だけが記載されていました。おそらく、A4用紙に全社員の情報をまとめ、その一部を切り取ったものだったのだと思います。合理的な方法なのかもしれませんが、その明細を受け取るたびに、少しだけ寂しさを感じました。給与は働いた成果を反映する大切なもの。だからこそ、もう少し丁寧に扱われていたら、社員としての存在をより大切にされていると感じられたかもしれません。
とはいえ、こうした工夫も会社の経営判断の一つだと思います。何を重視するかは組織ごとに違うもの、大切なのは「働く人が納得感を持てる環境をどう作るか」ということなのかもしれません。

時は流れて自分たちの創業後、最初の社員が増えた時、初めて給与明細を渡すタイミングで 経理担当メンバーから「これ、そのまま渡す?」というようなことを聞かれ、上記のようなモヤモヤした感覚を思い出しました。 社員を「従業員」という概念で扱うのはなくて、人格のある「個人」として接する、という姿勢を示すには、こういった小さな事象ひとつひとつの積み重ねが大事なのではと思い、封筒に直筆で相手へのねぎらいメッセージを書きました。 これが最初でした。 それからは数年にわたり、社員数が10人未満のころは私が毎月メッセージを書くということを続けました。

メンバーが増え、自分1人でこれを続けるのは量的に無理!となった時に みんなにも協力してもらって「1人が1人を見守り、ねぎらいあってもらう」という仕組みに変更しました。 ここで「守護神」という制度が誕生しました。


感謝の文化があると、職場はどう変わるのか?

ところで「感謝を伝え合うことに意味があるのか?」 そう思う人もいるかもしれません。
実際、私たちもこの制度がどれほどの影響を持つのか、長らく明確なデータを取っていませんでした。 しかし、コロナ禍によるリモートワークをきっかけにこの制度を一時廃止したことで、制度を経験していない「守護神なし世代」が誕生することとなり、その価値がはっきりと見えるようになりました。

ちょうどこの時期、弊社では『wevox』という外部サービスを利用してエンゲージメント調査を5年間ほど実施していたのですが、データ5年分を振り返ると興味深い結果が得られました。

守護神を経験してきた世代は、経験していない世代と比べ、エンゲージメントスコアの平均が有意に高いことがわかりました。 さらに、守護神を一度経験した世代は、制度を廃止して数年経ってもエンゲージメントや人間関係のスコアが高く、職場への意欲が持続しやすいことも分かりました。特に「人間関係」のスコアが顕著で、5年間連続してほぼ90点以上を維持していました。もちろんスコアが高い理由については、他にも弊社で実施している色々な取り組みがあるので「守護神だけで」とは言えませんが、守護神もその要員の一つとは言えそうです。

『wevox』を活用したエンゲージメント調査(2020年〜2024年)

守護神あり世代はエンゲージメントスコアが高い

• 守護神制度を経験した世代:業界平均より+10点
• 守護神を知らない世代:業界平均より+2点
※『wevox』運営会社による調査。「インターネットサービス」業界の平均「73.5点」(2021年、2240社以上が対象)

守護神あり世代のスコアは高得点を長期間維持

特に「人間関係」スコア。いずれも100点満点中
•2020年:87点
•2021年:90.9
•2022年:92.1
•2023年:90.9
•2024年:90.2

2025年、再び「今月の守護神」を復活

2025年、私たちはこの制度を再開しました。すると、初めて体験した社員からも好意的な反応が。「嬉しかった」「もっと続けてほしい」という声が多く、改めて職場で感謝を伝え合う場をあえて作ることの意味を実感しました。

「感謝の寄せ書き」への社内アンケート結果(弊社:従業員40名 2025/2)

90%がメッセージを「送る」ことにポジティブな回答

81%が「メッセージを受け取った後、自分も誰かに感謝を伝えようと思った」と回答

81%が「会社や職場の人への感謝の気持ちが深まった」と回答

🔹感謝のメッセージを受け取ったとき、 どのような気持ちになりましたか?(複数回答)

🔹若手社員の声
「特にベテランの方からメッセージは自信につながります」
「マッチングで相手が絞られることで、その人のことを普段より意識するようになりました。」

🔹中堅社員の声
「相手のことを自然と考える機会になる」
「自分が思ってもないところを指摘されると新鮮な感覚になる。」

【特筆】守護神を知らなかった世代の反応は?
100%がメッセージを「受け取る」ことにポジティブな回答
100%が「自分も誰かに感謝を伝えようと思った」と回答
83%が「自分の仕事への取り組みにポジティブな変化があった」と回答

残りは「変化なし」。ネガティブな回答は0件


「たった1通のメッセージ」がもたらすもの

この結果から、「今月の守護神」は社員の心理的安全性を高めるというのが数字的にも見えてきました。 それだけでなく、他者への関心や承認の気持ちを育む効果があることもわかってきました。

ところで今回の調査がきっかけで、複数のベテラン社員から意外なことを聞かされました。
なんとこれまでに受け取ってきた守護神メッセージの封筒をすべて、大切に保管しているのだそうです。 つい最近まで保管していた、という人も含めると結構な数のメンバーが封筒を手元に残していたことになります。 彼らは社歴にするともう20年〜15年くらいの古参メンバーなので、その数は——毎月1通、1年で12通、コロナで一時停止する前の約15年として計算するとひとり180通ものボリュームになります。こうなるともはやそれはただの封筒ではなく、永く働き多くの仲間に感謝されてきた事の証ともいえます。

職場の雰囲気をよくする事は、必ずしも大掛かりな制度を導入しなくても小さな仕組みでも可能かもしれません。
「今月の守護神」のようなささやかな取り組みが、心理的安全性を高め、人間関係を円滑にし、最終的には仕事への意欲につながるのかもしれません。


「守護神」の仕組みが無料のクラウドサービスに!(2025夏予定)

この「守護神」の仕組みを、どなたでも無料で使える超シンプルなクラウドサービスとして公開します。
いかがでしょう?みなさまの職場でも、一度この小さな「守護神」の仕組みを試してみませんか?
ぜひ多くの方にお試しいただき、使ってみた感想など教えていただければと思います。

給与日は感謝でもりあがろう!
守護神

• 月に1回社員をマッチング
• 社員それぞれに見守り相手をお知らせ
• 給料日の前にそれぞれに「ねぎらいの言葉」を書くようお知らせ
• 給料日にそれぞれの守護神からの「ねぎらいの言葉」をお届け

承認しあえる・感謝しあえる組織が増えれば、そこでいきいき働ける人が増える!
そんな思いで、わりと長めに無償提供していくつもりです。公開予定は2025年の夏ですが、今のうちでもぜひお気軽にお声がけください。早めのテスター体験などご案内できるかもしれません。

給与日は感謝でもりあがろう!